ご挨拶
おかげさまで「つきじ近富」は今年で創業63年を迎えました。
創業当時、鮭といえば北海道の秋鮭が代表格でしたが、当時は冷凍設備が完備していなかったため、 獲れたての鮭に、たっぷりと粗塩をまぶして、寒風の中、山のように積み上げて加工保存する「山漬け」が北海道伝統の手法でした。 この「塩辛い鮭」や木樽に入った「助宗子」、小樽前浜産の「塩数の子」などが北海道から数日かけて貨車で東京の築地市場に運ばれ、食卓を賑わしました。
鮭は昔から日本人に最も愛されてきた魚といっても過言ではないでしょうが、時代の流れとともに、趣向の変化とともに、今では様々な種類の鮭が流通するようになりました。
大きく分けると「天然の鮭」と「養殖の鮭」です。
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「天然の鮭」
親潮が流れる北太平洋を数年にわたり泳ぎ続け、親潮がもつ生命の源、人間の力では決して造りえない自然の栄養素をたっぷりと身につけて、北海道の山々を源とする川を目指して回帰する秋鮭(新巻鮭)は、まさに日本を代表する天然の鮭です。
カナダ、アラスカ、ロシアの川や湖を目指して回帰してくる紅鮭やキングサーモンも、生まれた故郷が違うだけで同じく天然の鮭です。
「養殖の鮭」
趣向の変化とともに、塩辛い鮭が敬遠され、脂分が珍重されるようになって、鮭も人工的に育てられるようになりました。限られた環境の中で、豊富なえさと寄生虫を防ぐための薬品を与えられて育つ「養殖の鮭」、身が柔らかくこってりとした脂肪を蓄え、えさにより着色された切身はみるからに美味しそうです。 限られた環境の中で一生を過ごし、大海を自由に泳ぎまわることがないため、身体の大きさに比べ尾びれが不自然に小さいのが特徴で、画像からもご確認頂けるかと存じます。
現在日本で流通している鮭の半分以上がこの養殖の鮭といわれ、年々増加傾向にあります。
はたして安心できる食材といえるのでしょうか・・・
ここ数年「天然の鮭」の漁獲量の減少や小型化の傾向などが報告されています。地球環境の著しい変化は魚類の生態系にも影響が出始めているのでしょうか・・・
自然の恵みに感謝して、いつまでも大切に味わいたいものです。
古来より変わることなく
素材そのものを活かし
塩により引き出された伝統の味
真に美味しいものとは
自然から生まれ 自然の力で
育まれたものではないでしょうか・・・
いつの世にも 日本人に心から愛される
伝統の味の品々
自然の海が育んだ 安心の美味しさを
変わることなく 築地から
おくり続けてまいります
店主敬白 |